共有に関する変更点①  軽微な変更ならば、持ち分の過半数で決められるようになりました。

共有物を変更するときは、原則として「共有者全員の賛成」を得る必要があります。
しかし、どのような場合でも全員の賛成が必要となると、共有物の利用が上手く進まないときがありますよね。

そこで、今回の民法改正により、例えば砂利道にアスファルト舗装をする行為や、建物の外壁・屋上防水工事等など、使い道や見た目が大きく変更しない場合は、「持分の価格の過半数」で決定できるようになりました。

(但し、共有物を使用している共有者に特別な影響が出てしまうときは、その人の承諾を得る必要があります。)

また、これまで賃借権等を設定する場合、全員の賛成が必要な長期間の賃貸借の判断基準が明らかでありませんでした。

そのため、慎重を期して全員の賛成を得ることが多かったのですが、今回の改正で「持分の過半数」で決定できる「短期の賃借権」の内容が明らかになりました。

〈短期の賃借権で決められる内容〉
ⅰ 樹木の植栽又は伐採を目的とする山林の賃借権等 10年
ⅱ ⅰに掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等 5年
ⅲ 建物の賃借権等 3年
ⅳ 動産の賃借権等 6か月

建物を所有するための土地の賃借権等や、建物の賃借権の設定は、借地借家法の適用により借り手が強く保護されることから当初の契約期間内での終了が確保されず、原則として「共有者全員の賛成」がなければ無効となります。

全員の賛成が得られず、「持分の価格の過半数の決定」により、建物を貸し出したい場合は、期間を3年以内の定期建物賃貸借(定期借家権)の設定を検討するとよいでしょう。

なお、定期借家権の設定には、契約で更新がないこと等を明記の上、所定の期間内に賃貸借が終了することを明確にする等の諸条件があります。

ご不明な点がありましたら、お気軽にお問合せください。

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