不動産登記制度と共有制度の見直し

相続があっても、遺産分割することなく放っておくと、全ての相続人が、法定相続の割合で不動産を取得し、共有の状態になってしまいます。

この共有状態でも登記はできますが、法定相続を確定させ、法定相続の割合を決める必要があるために、例えば生まれてから死ぬまでの戸籍謄本を集める必要があるなど、手続きが大変でした。

そこで、相続人が申請義務を簡易に簡単にできるようにするため、新たな登記(相続人申告登記)が設けられました。

この登記では、相続人が複数いる場合でも特定の相続人が単独で申出でき、他の相続人の分も含めた代理申出もできます。
法定相続人の範囲や法定相続分の割合を確定させる必要もなくなりました。

申出の際、申出をする相続人自身が被相続人(所有権の登記名義人)の相続人であることが分かるよう、添付書面としては戸籍謄本を提出すれば良いのです。(その後、登記官が審査をして職権で登記に付記します)

なお、不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要がありで、正当な理由なく怠ると過料の罰則もあるので、注意が必要です。(令和6年4月1日から施行されます)

他方で、既に多くの人の共有となってしまっている不動産も、沢山あります。
中には、誰の土地なのかわからなくなってしまっている「所有者不明土地」もあります。

このような土地でも、円滑・適正に利用するため、共有制度も見直されました。
見直しのポイントは、以下の2点です。

(1) 共有物の変更・管理に関すること
(2) 共有関係を解消しやすくする仕組みが設けられたこと 

(1)の「共有物の変更・管理に関すること」は、更に以下の5点に分けることができます。

①共有物の変更・管理に関する内容に関すること
賛否を明らかにしない共有者がいる場合の管理に関すること
所在等不明共有者がいる場合の変更・管理に関すること
共有物の管理者制度ができたこと
共有物を使用する共有者の義務に関すること

次回以降、①から⑤それぞれの内容を見ていきます。

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