株式会社は、「団体の実態を形成」した後、「登記」することで成立します。
「団体の実態の形成」には、以下のようなプロセスがあります。
①定款の作成
②株式発行事項の決定・株式の引き受け・出資の履行
③機関の選任
簡単に言うと、組織としてのルールを決め[①]、お金を集めて[②]、実際に働く人・組織を決める[③]、というイメージです。
その後、本店の所在地において「登記」をすれば、当然に法人格が与えられます(準則主義)。
ですので、ここでは「団体の実態の形成」についてお話します。
設立の態様としては、発起設立と募集設立があります。
発起設立とは、発起人が設立の際に発行するすべてを引き受け、会社成立後の当初株主になる形態の設立方法を言います。募集設立は、発起人は株式の一部だけ引き受け残りは募集します。
発起人とは、「株式会社をつくろう!」と考え、諸々企画した上で、定款に記名押印した人を言います。発起人になるための資格に制限はなく、行為能力のない人や、法人でもよく、一人でも構いません。
①定款の作成
発起人は定款を作成し、その全員が署名または記名押印しなければなりません。
定款とは、会社の根本規則を示したものです。紙で作成するほか、電子定款でもよいです。
定款には、必ず記載をしないといけない「絶対的記載事項」、記載しないと効力が生じない「相対的記載事項」、定款に記載しなくてもその効力に影響のない「任意的記載事項」があります。
絶対的記載事項は、「目的」「商号」「本店の所在地」「設立に際して出資される財産の価額またはその最低額」「発起人の氏名又は名称及び住所」「発行可能株式総数」の6点です。
「目的」は、会社の事業の内容です。目的に記載のないことは法律上できないこととなっています。後から修正するのはコストもかかるので、ある程度広く記載したほうが良いでしょう。
「商号」は、会社の名前です。株式会社の場合、株式会社という文字を含める必要があります。使える文字にも一定の制限があります。
「本店の所在地」は、会社の住所です。最小独立の行政区まででよく、地番は任意的記載事項になります。
「発行可能株式総数」は、会社が今後発行できる株式の総数です。設立登記のときまで、定款に定めなければなりません。
公開会社(譲渡制限株式が「一部」または「全くない」会社)の場合、発行可能株式総数は、設立時に発行される株式総数の4倍以内でなければなりません。(いわゆる「4倍ルール」)
非公開会社(全ての株式に譲渡制限がある会社)の場合、設立時に発行すべき株式の総数に縛りはありません。(4倍ルールは適用されません)
相対的記載事項の例として現物出資、財産引き受け、発起人が受ける報酬その他の特別の利益、設立費用などがあります。
定款に記載しなくても、定款自体の効力に影響はしませんが、記載しないとその事項の効力が生じません。現物出資の場合、出資者の氏名又は名称、出資財産の価額及びそのものに割り当てる株式の種類・数などを定款で定める必要があります。
定款(原子定款)を作成したら、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じません。定款の認証は、会社の本店の所在地を管轄する法務局又は地方法務局に所属する公証人が行います。神奈川県内に本店を置く会社等の定款は、神奈川県法務局所属の公証人が認証し、それ以外の他の地域に所属する公証人は認証できません。
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②株式発行事項の決定・株式の引き受け・出資の履行
設立には発起設立と募集設立の2通りありますが、ここでは発起人が設立の際に株式のすべてを引き受け、会社成立後の株主をなる「発起設立」を前提とします。
発起人は、設立時株式会社の引き受け後、遅滞なく、引き受けた発行株式につき、その出資に関する金銭の全額を払い込み、又はその出資に掛かる金銭以外の財産の全部を給付しなければなりません。
なお、現物出資等の相対的記載事項を定めた場合、その評価を巡る弊害が生じる恐れがあるため、裁判所が選任する検査役の選任の申し立てをしなければなりません。但し、財産の価額が500万円を超えない場合、市場価額のある有価証券で定款記載の額がその価格を超えない場合等の場合は、検査役の選任は不要となります。
③機関の選任
株式会社の機関には、株主総会、取締役、取締役会、代表取締役、会計参与、監査役、監査役会等があります。
このうち、株主総会と取締役はすべての株式会社に設置しなければなりません。その他の機関は、会社の規模や公開会社であるかにより異なり、様々な組み合わせがあります。
設立しようをする株式会社が取締役会設置会社である場合には、設立時取締役は3人以上必要ですので、特に少人数で会社を設立しようとしているか場合、注意が必要です。
以上、株式会社を設立する際の、「団体の実態の形成」についてポイントとなることについてお話いたしました。
株式会社の成立には、他にも注意点がありますので、ご不明な点がありましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。