前回の記事では、相続全般についてのポイントをお話しいたしましたが、今回は遺言書の作成にあたってのポイントをお話します。
遺言には、自筆証書、公正証書、秘密証書の3種類があります。
自筆証書遺言は、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、押印して作成します。
なお、財産目録については手書きで書く必要がなく、PC等で作成することができるようになりました。この場合もでも各頁に署名し押印しなければなりません。
遺言書が両面の場合、両面に署名押印が必要となりますので、ご注意ください。
公正証書遺言は、原則的に公証役場で作ります。2人以上の証人の立ち会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、それを公証人等がパソコンで作成し、遺言者が記載内容で間違いないかどうかを確認し、最後に署名・押印をします。
秘密証書遺言は、自分で作成した遺言を、封をした状態で公証役場に持っていき、存在だけを公証役場で証明してもらいます。遺言の中身が他人に知られることはありません。但し、様式の確認等を誰もチェックしていないので、折角の遺言書が無効となってしまうリスクがあります。
自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、遺言書の保管者や遺言書を見つけた人は、相続開始を知った後、家庭裁判所に申し立て、「検認」をしてもらう必要があります。
「検認」とは,相続人に対し遺言があることやその内容を知らせ、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。遺言の有効・無効を判断するものではありません。
この検認手続きは、申し立て後、終了するまで一定の期間(数週間以上)かかる等、相続人にとって負担となっていました。
これまで検認を不要とするためには、公正証書遺言とする必要がありましたが、2020年7月10日の法改正により、新たに自筆証書遺言の保管制度が設けられました。
この制度は、法務大臣の指定する法務局に遺言書の保管を申請することができるものです。遺言者の死亡後に,相続人等は,全国にある遺言書保管所において、遺言書が保管されているかどうかを調べること、遺言書の写しの交付を請求すること、遺言書を保管している遺言書保管所において遺言書を閲覧することもできます。
費用は、遺言者が遺言書の保管を申請する際に、1件につき3,900円、相続人が遺言書保管事実を確認するのに800円、更に、内容を確認するための閲覧に1,400円(モニターによる)又は1,700円(原本)かかりますが、検認手続き不要という相続人の負担が軽くなるというメリットを考えると、利用を検討しても良いかと思います。
こうして、遺した遺言書ですから、しっかりと実現してもらいたいものですよね。
そのため、遺言執行者を指定するという方法があります。
遺言執行者は、相続が遺言書どおりに実行されるように必要な手続きを行う人です。
遺言執行者がいる場合、相続人は、相続財産の処分その他の執行を妨げる行為をすることができず、この規定に違反した行為は無効となります。
以上、遺言書作成のポイントについてお話いたしました。